アメリカンクラッカーを操る少年の話。
冒頭、怪獣が送電線から電気を喰い、東京中の電圧が不安定になる。
ある、郷が休暇の日、榊原るみの弟次郎は見知らぬ少年と出会う。
その少年は、アメリカンクラッカーの達人で勉強も出来て、おまけにお金持ち、そして足を引きずっていた。
次郎はその少年に算数のノートを借りるが、3時に返してくれと言われる。
家に帰ると郷がおり、宿題は自分でやれとたしなめられ、2人で予定より早くノートを返しに行く。
少年の家は高台にある豪邸で、MAT隊長の兄で鉄道会社の社長の家であった。
出てきた和装の奥さんに挨拶をし事情を話すと、少年は「ノートは失くした」と言っていたらしい。
なにやら雲行きが怪しい・・・・・。
玄関を出ると少年がおり「3時じゃないと困るではないか」と、ひともんちゃく。
そこで、隊長が停電事件に関して秘密裏に何かしようとでもしているよう聞こえるように、うそぶき始める少年。
郷、「隊長がまさか隠し事を・・・」と焦る。
疑心暗鬼になった郷は、翌日みんなの前で問いただしてしまう。
しかし、そんな事実はあるわけもなく、逆に「甥は嘘をつかん」とやり込められてしまう。
こうなったら、ますます少年が怪しい郷、再び豪邸へ。
すると、ガレージの薄っすら開いたシャッターの中から声が・・・。
なんと、本物の隊長の甥が車の中に縛り上げられているではないか!!
やはり、あの少年は嘘つきの偽者少年だったのだ。
(すげ~展開、子供番組とは思えない)
そして、嘘つき少年の本当の住まいは・・・・・、
場末のトタン屋根のバラック・・・・、
それは、スラム。
セットではない本物だけが持つリアリズムが圧倒する町並み。
そこで、爺さんから語られる事実がまた、リアル。
少年の親父は電車の運転手。
あるとき、突如線路内に怪獣が現れ、衝突脱線の大事故を起こしてしまう。
もちろん親父は死んでしまい、現場に居た少年も足を悪くしてしまう。
少年の言う怪獣のことは誰にも信じてもらえず、全ては親父の操作ミスということになってしまう・・・。
それ以来の嘘つきなのだという。
その捻じ曲がった恨みが、前述のなりすましによるイタズラだったのだ。
(責任を押し付けた会社に対する恨みなのだ)
ちなみに、この説明をするのに爺さんはいちいち差別用語を使う。
実は、あのときの怪獣が再び現れているのを知っている少年は、「今夜、東京はめちゃめちゃになる」と脅す。
その夜、まさかと高をくくっていたMATだが、はたして怪獣は現れる。
しかし、またしても脱線した電車事故現場に行くと、怪獣はおらず、逆に少年を発見してしまう。
そして、少年が置石をしたに違いないと言い合うMAT隊員。
これでは、初動ミスをする地方の警察を見るようだ・・・。
だが、怪獣はいるのではないか・・・、と思い始めている郷は、再度少年に聞きただしてみたいと進言、受理される。
少年の逃げた亀を探してあげたりして気持ちが通じ合う2人に見えたが、少年が「親父を殺したのは怪獣だ!!」と力説するなり「嘘をつくな!!」と猪木ばりのビンタでぶちのめしてしまう郷。
(おいっ、信じてたんじゃなかったのか・・・)
真剣な親心から出た行動とはいえ、信じてもらえなかった少年の訴えるような目が悲しい。
そこに割ってはいる通信、発電所が襲われているという。
何をかいわんやだ。
怪獣が暴れだし、出動するMAT。
少年も愛憎半ばする気持ちを怪獣に抱きながら、怪獣に東京を壊せとせき立てる。
このときの特撮が大胆ですばらしい。
その後、少年親子のことなんか知ったこっちゃない怪獣に吹き飛ばされた少年を助けあげる郷。
「大丈夫か」の問いかけに少年、
「今更なんだい!!調子のいいこと言うな!!」とひねくれる。(そりゃそうだ)
しかし、郷が素直に謝ると「信じてくれたんだね」と許してしまう少年だった。
謝ったら判ってくれる時代の子供でよかったな、今だったら暴力を振るったと騒がれてMATはクビ間違いなし。
その後は、お決まりの「お~い」のフォーマットであるが、郷の呼びかける相手が少年であり、完全に気持ちが通じ合った2人(少年の足はいつしか治っている)が、水溜りというには深すぎる湿地帯のようなところで泣きながら抱き合う、という感動のラストになるのだった。
傑作です。
そして、少年を好演したのが高野浩幸。
そう、「バロム1」の片割れ。
なかなかの演技だと思ったら、そうそうたる芸暦の持ち主だったんですね。
高野浩幸Wikiちなみに、デーモン小暮の世を忍ぶ仮の姿は、この少年に似ていたそう。
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- 2008/09/30(火) 06:25:50|
- MX円谷劇場
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